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かんげきにっき

『12人の怒れる男』 観劇感想

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観劇しても…なかなか感想に残せていないことが多いなと思ったので感想をとりあえず思うがままに書きます。

 

12人の怒れる男」が最高でした!!!!

 

劇場から出た瞬間に「演劇って最高!!」って叫びながら走りたくなる作品に出会えたので感想を残したいなと思い書きました。

12人は去年、面白そうだなあと思っていたのに予定がつかなくて行けなくて…今回は絶対にみたかったので念願叶って観ることができて!しかも予想以上に面白くて…!!しばらく12人のことばかり考えてしまっているのでちょっと病気ですね笑

ちょうどこういう舞台がみたかったのもあり…ワンシチュの濃厚な会話劇!こういう舞台も好きだなと改めて思いました。

※あくでも私からみた感想や考察のようなものなので色々と間違っている部分もあると思います。

 

 

公演情報

ナイスコンプレックスプロデュース公演第3弾 

12人の怒れる男』 

原作:レジナルド・ローズ 

脚色/演出:キムラ真 

 

公演日程

2019年2019年7月17日(水)~7月21日(日) 

会場TACCS1179 

 

あらすじ

 父親殺しの罪に問われた少年の裁判で、

陪審員が評決に達するまで一室で議論する様子を描く。

法廷に提出された証拠や証言は被告人である少年に圧倒的に不利なものであり、陪審員の大半は少年の有罪を確信していた。全陪審員一致で有罪になると思われたところ、ただ一人、陪審員8番だけが少年の無罪を主張する。彼は他の陪審員たちに、固定観念に囚われずに証拠の疑わしい点を一つ一つ再検証することを要求する。陪審員8番の熱意と理路整然とした推理によって、当初は少年の有罪を信じきっていた陪審員たちの心にも徐々に変化が訪れる。

(公式HP様より引用)

 

 

12人の怒れる男の推したいポイント!!

 

①役者の息遣いも聞こえるような狭さでの劇場

 

ナイコンの主催のキムラさんが前説で役者さんの息遣いも聞こえるようなサイズでやりたい作品だっていうお話をされていて…観劇後にめちゃくちゃ納得しました。

ため息とか、目線の送り方とか、あのイライラした嫌な雰囲気とか、12人の怒りを浴びるにはあのサイズの箱が本当に的確だなあと思いました。

下落合TACCS1179は座席数だいたい100くらいみたいなので…あの狭さであの演劇みられるなんて本当に凄いことだなあと思って…地下に降りていくタイプの劇場ってそれだけで私はワクワクしてしまいます。

最近よくみる界隈は800~1000規模くらいの劇場が多かったので…こういうサイズの劇場でお芝居をみられることが私にとっては、なんだか新鮮だったし(たまには小劇場も行くけど)

役者さんにとって凄く貴重なのではないかなあと思いました。こういう箱でお芝居できるって色々もちろん色々あるとは思うけど…若手の俳優さんにとっては良い経験なんだろうなあって思います。大阪の劇場も素敵な予感がするので楽しみ!!

 

②何もかもがシンプルイズザベスト

本当にシンプルに舞台中央に丸テーブルと12脚の椅子。それだけ。(奥にお水置き場なものがあるくらい)そして役者さん。派手なセットも映像も衣装も何も無くて、それなのに終わったあとにこれだけの満足感が得られるなんて凄いなあって思いました。ただただ役者さんの演技と脚本・演出だけが全てなの凄くないですか?私が役者さんならちょっと立つの怖いなあって思ってしまうし、試されている感が凄いのに12人の役者さん全員が凄まじくて圧倒的な演劇をみせつけられて気持ちよかった!終わったあとニヤニヤが止まらなくてマスク買ってしまいました笑

 

③役者さん達のキャスティングが神がかっている

12人はキクチさんがお仕事をご一緒されたか演技を観たことがある役者さんにしか出演依頼をされないそう。観劇後に納得!!って思いました。これは信用している役者さんしか呼べない舞台だなあって思いました。ひとりでも崩れたら総崩れになる舞台だと思うし…12人全員が全力すぎて…素晴らしかったなあ…この人しかいないというキャスティングなのに、この役者さんが逆に別の役を演じるところもみてみたーい!と思うところもあって…本当に脚本と演出が良いんだと思います。最高ですね。

 

 

~ネタバレ盛大に含みます~

 

東京公演で特に印象に残ったのは3号と8合と10号の役者さんでした。(皆さん最高なのですが)

 

陪審員第三号さひがしジュンペイさん(おぼんろ)

おぼんろを何回かだけ観劇させて頂いたことがあるので、わー!さひがしさんがみられる!!ってワクワクしながら観劇して、まあめちゃくちゃ泣きましたよね。最後まで有罪側に残る人。連絡がとれない息子という存在のために父親を殺した息子という被告人に対する偏見が拭えないのかなあ。自分の息子と被告人が重なってしまう。息子さんの写真を見せてきた時と怒っている時のギャップが凄かったですね… さひがしさんの演技って生々しいなあって思うんですよね。上手く言えないけど…劇場に入ってきて怒って盛り上がって無罪だとなるところまでの1連の流れに嘘がなくて好きだなあって思いました。人様の人生を覗かせて貰っているような気がして、いたたまれなくなる。頭の良い役者さんなんだろうなあ…おぼんろでもまた早く演技拝見したいなあって思います。

 

陪審員第八号 濱仲 太さん(ナイスコンプレックス)

安定感ーーー!!!なんかもう出てきた瞬間から歴戦の猛者感が凄すぎて…何者なんだろうって思っていたのですが…無知で恥ずかしくもあるのですが最後の挨拶で納得しました笑

本当に安定感のある凄く綺麗な演技でとても好きでした。良い意味でサイコパス感があって…いや良い意味で!!1番本当に何を考えているのか全く読み取れなくて…去年も八号を演じられていることを差し引いてもあまりにフラットに立っていらしたので感動しました。最後に4号と長台詞で討論になった時に、こんなにわかりやすく凄くスラスラと台詞じゃなく、ご自分の言葉として話すみたいに台詞を出せるの本当に濱仲さんにとっては当たり前のことなのでしょうが…ナチュラルな役者さんて良いなあって思えました。

 

陪審員第一〇号神田聖司さん

はちゃめちゃに良かったです!!スタンディングオベーション!!

当たり前なのかもしれないけど最初から最後まで紛れもなく10号だった…他の人の感情を含めて周りを凄くみれている役者さんだと思いました。

終始イライラして貧乏ゆすりしていたり、事あるごとに時計をみたり、ハンカチを何度もたたみ直していたりと神経質さが際立っていて10号という世界観が最初から出来上がっていて、初見はストーリーをおうことでいっぱいいっぱいだったのですが2回目からは今日も頭のてっぺんからつま先まで10号だなあと…にやけてみてしまいました。そんな経験なかったので自分でもびっくりしてます笑

後半に頭にジャケットを被ったまま、なかなか動けなかったのも、とても印象的でした。決定的に無罪だっていう発言があったときに、ちょっとビクッと反応したようにみえて…一度ついてしまった偏見とかってそんな簡単に拭えるものでもないと思うし…10号の必死に訴える姿や最後に小さくなってなかなか動けなくなった10号をみて嫌な奴っていう気持ちだけではなくて、なんだか可哀想に思えてきて庇護欲みたいなものが芽生えてきてしまって泣けてきてしまいました。10号のこれまでの人生を感じられる演技だったのではないかなと…凄く好きな演技に出会えて、これも本当に12人をみにいけてよかったことだなあと思います。今更なのですが公式さんに登場人物紹介があってそれをみて、また泣いてしまったし10号が好きだなって思いました。彼の過去は全くの無であり将来も何もないだろうって。無意識に本人もそれを感じてしまっているって切ないし…でも凄く分かるなあって気持ちが芽生えてしまった。10号は悲しくてとても好き。(ちなみに10号が夏風邪をひいていることに何か意味はありますか?調子が悪いとかそういう些細なことも人をイライラさせたり怒らせる原因になりうることってことなのかな。わからない。)

 

 

 

 

法廷ものというものはやっぱり人間が凝縮される感じがして好きです。12人の陪審員全員が違う考え方や視点を持っていて面白かった。あの部屋には夏の暑さと共に、偏見という凝り固まった嫌な空気が充満していて恐いなあとすら感じました。10号が偏見に満ちた意見を話したときに他の陪審員たちがどんどん窓の外を向いていくのが印象的でした。

また、最初は有罪だと思い込んでいた陪審員たちが偏見という歪んだ感情を捨てた時に役者達もジャケットを脱いでいくのが、好きな演出でした。

もしあのまま無罪の少年が死罪になっていたらと思うと本当に怖いし気持ち悪い。人間ってどうしても偏った思想を持ちがちなのかなあと思うし、生まれ育った環境とか教育に左右されがちだから…何事に対しても自由でいたいなって強く思いました。

あまり関係ないかもしれないのですが…海外の裁判所に飾ってある女神の銅像は目隠しをしているものが多いって話を聞いて…外見、見た目とか肌の色とかで差別しないということのようで…12人も始まる前に真っ暗闇の中で裁判長の声を聞くことはこのことと同意なのかなあと思ってしまいました。パンフレットまだ読めてないので書いているのかもしれませんが…

あと、初見で突然「スラム街」って言葉が出てきた瞬間に日本の話じゃないのか…って1度思考が停止してしまったんですよね。私は海外の話だとわかった瞬間に気持ちが入りにくくなってしまうタイプなのですが(どうしても宗教とか価値観のズレを感じてキャラクターの気持ちを理解しにくくなってしまうから)12人はそういう感情がもう既に間違っているのかもしれないなあと思えたし、私みたいなタイプが1番偏見を持っているのかもと改めて考えさせられたので凄く自分を見つめ直すことができて、それも良かったなあとも思いました。

最近悲しいニュース続きで悲しいなつらいなって思うことが多いように思います。

人は人を裁くことはやっぱりできないなって思うけど…少しでも正しいものの見方をできる人になりたいなと思いました。本当に今みるべき作品のように感じました。

 

 

大阪公演が8/2〜8/4まであるようなので、少しでも気になられている方がいらっしゃったら是非ともおススメしたいなあと思います!!

まだまだ書き足りないのですが…大阪公演までに書きたかったのでとりあえず終わり。また書きたいです。